交通事故はどういう手続きで解決する?
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交通事故の加害者というのはどのような法的な責任を負うのでしょうか。 |
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刑事上、行政上、民事上の3つの責任を負います。
交通事故の加害者は、主に3つの責任を負うといわれています。
1つは刑事上の責任といわれるものです。業務上過失致死傷罪、危険運転致死傷罪などの罪状で呼ばれるもので、罰金刑や禁固刑などの刑罰が科されることになります。刑罰を科すか否かの判断(起訴するか否かも含めて)は、検察官の判断によります。
2つ目は行政上の責任と呼ばれるもので、反則行為に対する免許の点数制度や免許停止、免許取り消しなどの処分がそれにあたります。
3つ目が民事上の責任と呼ばれるもので、いわゆる金銭賠償の問題です。通常、被害者と加害者との示談交渉などの結果、受け取ることになる賠償金や慰謝料といった金銭は、この民事責任の分野になります。
刑事上、行政上の責任については、被害者であるあなたが、特に何かを準備したり、行動を起こさなくても加害者に課せられますが、民事上の責任に関しては、被害者であるあなた自身が行動しなくては、“泣き寝入りする”ことにもなりかねません。そうした被害者の泣き寝入りをなくすために、このFAQをお役立てください。
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交通事故は通常、どのような流れで解決していくのでしょうか。 |
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被害者と加害者の話し合いによる解決が基本です。
こちらで説明した民事上の責任、すなわち金銭による損害賠償は、そのほとんどが加害者と被害者の話し合いによって決められます。この話し合いが円満に執りおこなわれ、被害者が満足のいく賠償金を得ることができれば、とくにトラブルになることはありません。ほとんどの事故は話し合いで解決しているようです。ところが、加害者が必ずしも“いい人”だけとは限らないのが世の中です。故意に被害者と連絡をとらなかったり、話し合いの席に着こうとしなかったり、さらには、一方的に低い金額を突き付けて、それ以上は出せないと開き直ったり・・・。いろいろな人がいるのです。結局、金額的に納得できる話し合いができなければ、被害者は話し合いに見切りをつけ、調停(こちらを参照)や裁判(こちらを参照)という手続きを取ることになります。調停は簡易裁判所に、裁判は地方裁判所もしくは簡易裁判所に申し立てすることになりますが。この手続きは弁護士に依頼する方が多いようです。
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交通事故の示談ということで保険会社の担当者が連絡してきました。示談とは何ですか。 |
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被害者と加害者の間で交わされる損害賠償の内容に関する約束事です。
こちらで、交通事故の大半は、被害者と加害者の話し合いで解決すると説明しました。そして、この話し合いで取り決められた損害賠償の中身に関する約束のことを示談といいます。示談は必ずしも書面に残す必要はなく、口頭での、いわゆる口約束でも成立しますが、後日その約束が実行されなかったり、そもそも取り決めた内容にお互いの考え方、認識の違いなどがあった場合にはトラブルの元になります。そのため、トラブルになったときの証拠を残す意味でも、ほとんどのケースで示談は書面にして残しておきます。現実に賠償としてすでに履行されたものや、将来にわたり履行される予定のものも含めて、すべて書面に記載することになります。
示談は、現実的には保険会社の担当者とする場合がほとんどです。ですから、質問のように、加害者本人からではなく、保険会社の担当者から連絡が来る場合が多いのです。ここで注意が必要なのは、保険会社というのは、この手の事件解決のいわばプロです。このプロ相手の話し合いでは、何もしなければ、相手のペースで話し合いが終わってしまう危険性が大です。まず心得ておくことは、あわてて示談をまとめてしまわずに、じっくりと話し合いをすることです。
示談は、一度ハンコを押してしまうとやり直しはききません。示談書にはすぐにハンコを押さずに、必ず一度持ち帰って、相談所の意見を聞くなど、客観的に見直してから、ハンコを押すように心掛けましょう。相談所については、こちらとこちらに詳しく解説してあります
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示談において保険会社の言いなりにはならないほうが良いのでしょうか。 |
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相手はプロ。疑問があればまずは各種相談所や弁護士などの専門家に相談を!
前問でも触れましたが、保険会社の示談担当者は、いわゆる交通事故の示談のプロです。被害者の方々は、このプロの交渉人を相手に示談交渉をしていかなければならないことになるわけです。もちろん保険会社の担当者にも、被害者の立場に立って物事を考えてくれる良心的な方も多数います。しかし、逆に、示談を早く安く済ませようと交渉を進めてくる担当者も確実にいるようです。
後者のような担当者にあたった場合、被害者の方に損害賠償の知識がまったくなければ、その賠償額が自賠責保険の範囲内で終わってしまうということもあるでしょう。自賠責保険の範囲内であれば、任意保険の保険会社の実質的な負担はゼロになるからです。
ご自分で判断できないときには法律相談所を利用するなどして、専門家の意見を聞くことをお勧めします。相談所については、こちらとこちらに詳しく解説してあります。
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加害者にまったく誠意がなく、示談が進みません。せめて強制保険だけでももらえないものでしょうか。 |
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強制保険では、被害者が直接、保険会社に請求して賠償金を受け取ることができます。
本来、保険というのは、保険料を拠出することで、何か事故等で損害が生じたときに、その損害をカバーする保険金をもらえる仕組みです。ですから、交通事故の場合でも、加害者が損害賠償を支払い、それをカバーする意味で保険会社に保険金を請求するのが本来の手続きです。これを自賠責保険の場合でいうと加害者請求といいます。つまり加害者請求では、まず被害者に損害賠償金を支払ったうえで、その領収証、その他必要書類を添えて保険金の請求をします(実際に支払った金額についてだけ請求できます)。つまり加害者が賠償金を支払ったことが前提になるわけです(示談未成立でも請求は可能です)。
ところが、示談がなかなか進展せず、加害者に賠償能力がない場合などは、被害者は治療費ももらえず、泣き寝入りを余儀なくされます。そこでそうした被害者救済のために、自動車の保有者は自動車損害賠償責任保険(通称、自賠責保険)に加入することが強制されています。強制的なものなので、強制保険とも呼ばれています(こちらを参照)。
この強制保険では、交通事故の被害者が、加害者との示談前に、加害自動車が加入している保険会社に保険金の支払いを請求し受け取ることができます。これを強制保険の被害者請求といいます。さらに、もし被害者に資力がなく、治療費の支払いや生活費にも困っているような場合には、この被害者請求の前渡し金として、仮渡し金の請求をすることができます。なお、強制保険は人身事故のみを対象としており、物損事故については保険金が出ないということも頭に入れておきましょう。
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保険会社の説明は専門用語が多くて分かりません。どこか相談できるところはありませんか。 |
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日弁連交通事故相談センターが無料で相談に乗ってくれます
(財)日弁連交通事故相談センター所在地一覧(平成17年6月現在)
この相談所は、自動車、二輪車事故の民事関係の問題について、弁護士が無料で相談に乗ってくれる便利な相談所で、日本弁護士連合会が基本的人権の擁護と社会正義の実現を図るため昭和42年に運輸大臣の許可を得て設立した財団法人です。運営は弁護士が当たり、自動車事故に関する損害賠償問題の適正かつ迅速な処理を促進し公共の福祉の増進に寄与することを目的としています。
相談できる内容としては、自賠責保険または自賠責共済に加入する事を義務づけられている車両による国内での「自動車・二輪車」事故の民事関係の問題についてです。被害者側・加害者側・相談者の居住地は問いません。ただし刑事処分・行政処分(こちらを参照)の相談はできないことになっています。
現在、全国141か所で相談を受付け、うち29か所では示談(こちらを参照)あっ旋および審査を、弁護士が無料でおこなっています。損害賠償の交渉で相手方と話し合いがつかないような時には、日弁連交通事故相談センターの弁護士が間に入り、公平・中立な立場で示談が成立するように援助をしてくれることになります。その意味では、交通事故紛争処理センター(こちらを参照)と同様の機能があります。しかし、交通事故紛争処理センターと同じように、出頭を含めて当事者に対する強制力はありませんので、相手方保険会社が従わないときには、訴訟(こちらを参照)を提起せざるを得ません。
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保険会社の説明に納得がいきません。どこに相談したらいいのでしょう。 |
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(財)交通事故紛争処理センターが力になってくれます。
(財)交通事故紛争処理センターの所在地一覧(平成17年6月現在)
交通事故の被害者の現状としては、自賠責保険や任意自動車保険などによる各種の保険制度により、一定程度の補償を受けることができます。しかし、被害者の大多数の方々が交通事故の賠償や保険制度についての知識がなかったり、交渉に不慣れだったりするために、その道のプロである保険会社との交渉では、被害者側に不利になるような事例も数多く見受けられるのも事実です。
このような事態に鑑み、昭和49年に、従来の相談機関の機能を一歩進めた「交通事故裁定委員会」という組織が発足されました。その後昭和53年には組織は拡充され、中立公正の立場を強化するため、日本弁護士連合会の協力を得て、「財団法人交通事故紛争処理センター」へと発展し、交通事故の紛争の適正な処理と公共の福祉を目的に、全国的にその組織を広げることになりました。
この機関の特徴は、交通事故の損害賠償に関する紛争の解決を目的とした機関であり、中立かつ独立の機関であるということです。主な業務として、「和解の斡旋」や「審査」などがあります。しかし、交通事故紛争処理センター自体は民間の機関であるので、当事者が合意しなければ示談(和解)を成立させることはできませんし、そもそも裁判のように当事者を強制的に呼び出すことはできません。しかし、加害者側に任意自動車保険が付保されているような場合には、かなりの強制力をもった紛争処理機関となります。
本来であれば、紛争を解決する機関としては、裁判所がその役割を担うのでしょうが、訴訟はその手続きの煩雑さ、審理期間の長期化、高額な弁護士費用などの関係でなかなか利用されません。その点、このセンターだと手続き等も簡単なので、利用される機会も多いようです。
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強制保険と任意保険の違いはなんですか。 |
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強制保険は人身損害に限られ、任意保険は対人賠償、対物賠償、自損事故、搭乗者傷害などがセットになっています。
自賠責保険とは、自動車損害賠償保障法に基づき自動車の運行による人身事故の被害者を救済するために、すべての自動車(一部適用除外車もあります)について契約することが義務づけられている、いわゆる強制保険です。通常は車検のときに付保されますので、ユーザーにとっては少しなじみが薄い保険かもしれません。法律で付保を義務付けられていますので、原則、付保されていない車両での交通事故の発生はありえません。しかし、加害車両が車検切れの車であった場合などは、この例外としての事例にあたり、自賠責保険が付保されていないということもあります。自賠責保険は、広く交通事故の被害者を保護するという要請から法制化されたものであるため、その性質上、保障制度的な要素が強く、またたくさんの請求を迅速かつ公平に大量に処理する必要性から、かなり定型化・定額化された支払の基準が定められています。傷害事故、後遺障害事故、死亡事故などの場合に、支払いの限度額も定められています。
支払いの対象となる損害も、人身損害に限られ、物損は対象になりません。被害者は、加害者の加入している損害保険会社等に直接に請求することもできます(こちらを参照)。当座の出費にあてるため、被害者に対する仮渡金という制度もあります。
これに対して任意保険とは、その名前が記す通り、ユーザーがその意思で、任意に各保険会社と保険契約を締結するものです。法的な規制により強制化されているということはありません。通常は1年契約ですが、最近では2年、3年という契約も保険会社によっては取り扱っているようです。自賠責保険との大きな違いは、その対象とする損害の範囲が、広範囲にわたることです。その補償範囲を任意に選択できるのも特徴ですが、一般には対人賠償、対物賠償、自損事故保険、搭乗者傷害保険、無保険車傷害保険もしくは人身傷害補償保険等がセットになって1つの自動車保険として販売されていることが多いようです。対人事故は自賠責が付保されていれば最低限そちらからの支払いはされますが、対物事故の場合には、任意保険で対物賠償保険の契約がなければ、保険で支払われることはありません。
事故に遭われた場合には、相手方の任意保険の有無にも注意が必要です。
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調停とはどのようなものですか。 |
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裁判所で行われる当事者同士の話し合いですが、調停が成立すれば、確定判決と同様の効力があります。
調停は簡易裁判所において行われますが、訴訟(裁判)(こちらを参照)とは異なり、裁判官のほかに一般市民から選ばれた調停委員2人以上が加わって組織した調停委員会が当事者双方の言い分を聴き、必要があれば事実も調べ、法律的な評価をもとに条理に基づいて歩み寄りを促し、当事者の合意によって実情に即して争いを解決します。
調停は、訴訟ほどには手続きが厳格ではないため、だれでも簡単に利用できる上、当事者は法律的な制約にとらわれず自由に言い分を述べることができるという利点があるので、国民一般の支持を受け、交通事故に限らず幅広く利用されています。申立ての際に貼付する印紙代も訴訟に比べて安価であるのも特徴です。
調停は、裁判所の中で行われますが、実態としては「話し合い」が基礎にあり、あくまでも当事者双方の合意を尊重します。よって話し合いが成立しなければ解決はできず、調停は不成立となります。また出廷してこない相手方当事者を拘束する手段もないのが現実であり、不誠実な相手方との話し合いには向きません。しかし、ひとたび調停が成立すれば、その合意を記載した書面(「調停調書」といいます)は確定判決と同様の効力があり、強制執行をおこなうこともできます。
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訴訟はどのように起こしてゆくのでしょうか。 |
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話し合いも調停もだめなときの最後の手段。本人でも起こせるが、複雑な事案では、弁護士を頼んだほうがいいでしょう。
訴訟とは、これまでに述べた「示談」(こちらを参照)、「交通事故相談センター」(こちらを参照)、「交通事故紛争処理センター」(こちらを参照)、「調停」(こちらを参照)などの手続きとは違い、まさに公的な強制力をもった裁判所の判断を求める作業になります。
まず手続きの開始としては、「訴えの提起」をしなければなりません。一般に、裁判所に訴訟を提起する作業がこれにあたります。訴状を作成して、管轄のある裁判所に提出することになります。また訴額(請求する金額のこと)に応じた収入印紙や定められた金額の郵便切手を貼付しなければなりません。裁判を起こした後、裁判所では、争点及び証拠の整理をする手続き、口頭弁論などが実施されます。判決に不服がある場合には、控訴、上告などの手続きもあります。
また裁判自体は、弁護士を頼まずに本人だけでも起こすことはできます。俗に「本人訴訟」などと呼ばれているものです。その場合には、難解な訴訟の手続きの流れや裁判処理自体を詳しく知るために、裁判所内の事務所で手続きその他の方法の教えを乞うほうが良いでしょう。
しかし、「責任の関係」や損害賠償算定の「相当因果関係」など、自分では手に負えないような事情があれば、速やかに弁護士に相談をしたほうが良いでしょう。
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弁護士に依頼するとどのような利点があるのでしょうか。 |
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交通事故の専門家である保険会社を相手に争うには、法律の専門家である弁護士に依頼する効果は高いでしょう。
交通事故の解決の方法には、示談交渉、民間の紛争処理機関での示談斡旋(交通事故相談センターや交通事故紛争処理センターなど)、調停、裁判という方法があります。いずれも、本人みずから行なうことができます。
しかし、交通事故の解決には、ケースによっては複雑な法律関係が潜んでいたり、また損害の計算を行なうのにも専門的な知識が必要であったりするのも事実です。そうしたすべての状況を踏まえた上で、法的に正当な主張を行なうためには、やはり弁護士という専門家の手を借りるのが方法としては間違いがないと考えられます。また、損害の算定を行なうにあたり、慰謝料(こちら、こちらを参照)などの計算方法は、弁護士が使用している基準のほうが、保険会社が使用している基準より高いのも事実です(注、弁護士が介入したから必ず弁護士の基準で計算されるというものでもありません)。保険会社は交通事故の専門家ですので、それに対抗するために法律の専門家を依頼するということは十分にその効果はあります。
しかし、事案の内容によっては、弁護士に依頼するとその弁護士費用の関係からかえって経済的に不利益になるケースも考えられます。その費用をかけるだけの十分な可能性があるのかどうかをよく検討し、弁護士と相談する必要もあります。
交通事故、一体どっちが悪いのか?(過失相殺)
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加害者と被害者はどのように決まるのでしょうか。 |
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加害者、被害者という言葉は、形式的な分類でしかありません。あまり被害者、加害者の呼び方に敏感になる必要はないでしょう。
事故発生の原因の要素を多く持っている方を加害者、少ない方を被害者というように分類することもあります。
しかし、自動車と歩行者の事故で、歩行者が信号無視であるケースの場合を考えてみますと、単に過失の大小だけでは割り切れません。一般にこのような事故の場合には、自動車の過失30%:歩行者の過失70%と考えられます(あくまでもケース事例です)。この場合に歩行者が大けがもしくは死亡していて、相手方である自動車に治療費や慰謝料を請求する際には、やはり歩行者の方を「被害者」と便宜的に区分して呼びます。
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交差点で出会い頭の車同士の事故に遭いました。相手は一方的に私のせいにして怒鳴ってきました。どうしたらいいのでしょう。 |
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相手方の言い分は一切認めず、警察に事故の届けをし、保険会社同士の話し合いで決着しましょう。
事故の発生形態によりますが、信号のない交差点においての出会い頭事故であれば、たとえこちら側に一時停止無視などの落ち度があっても、双方に責任割合の発生する事故と考えられます。相手方が一方的にこちらの責任にしてきても、認める必要はありません。警察にきちんと事故の届出を行い、お互いの連絡先や保険会社などを確認し、それぞれの保険会社に事故の報告を行い、保険会社同士での話し合いを行なってもらいましょう。
相手方がそのように興奮した状況であれば、現場での話し合いは難しいでしょうが、相手方のいい分は認めない、という自分の意思だけはきちんと伝えておきましょう。
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被害者にも過失があるため損害額の減額がおこなわれ、損害額満額の保険金は支払えないといわれました。そもそも過失相殺って何ですか。 |
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こちらでも若干ふれましたが、交通事故の発生はどちらか一方の不注意のみで発生することは少なく、当事者双方の不注意から発生することがほとんどです(例外的に、信号待ちで停止している車両への後方からの追突事故や、青信号横断中の歩行者への信号無視の車両の衝突事故などの、一方的な事故もあります)。
そして、その発生した損害を相手方に負担させることになるのですが、「公平の原則」の観点から、その損害(被害)を請求する側にも事故発生の原因となる不注意がある場合には、その責任部分は被害者本人に負担させるのです。損害の賠償は、基本的には金銭でおこなわれますので、その割合を具体的な数値で明示しようとする試みが、「過失割合」というものです。そして、具体的な損害額から責任割合を控除して支払う方法が、過失相殺ということになります。
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過失にはどのような例があるのでしょうか。 |
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道路交通法に規定されている決まりや義務違反のほか、非常識な行動も過失とされます。
車を運転する場合、人はいろいろな「きまり」に従って運転します。単純な例でいえば、赤信号の時は止まらなければなりませんし、右折禁止の道路では右折することはできません。また、車を運転する場合には、前方に注意したり、ハンドルやブレーキを確実に操作して、他人に迷惑をかけないように注意する「義務」(安全運転の義務)などもあります。こういった「きまり」や「義務」のほとんどが、道路交通法に規定されています。この「きまり」や「義務」を守らなかった場合は、その運転には「過失」があったといえます。
その他運転における常識も考慮されます。道路交通法における「きまり」や「義務」の他に「常識」のない運転をした場合も「過失」があったと判断されます。正面からセンターラインをオーバーして自動車が向かってきた場合、常識では、衝突をさけるためにハンドルを切ったりブレーキをかけたりして回避行動をとります。しかし「すぐにもとの車線にもどるだろう」と勝手に考えて、適切な回避行動をとらなかった場合も「過失」があったと判断されるという具合です。自動車事故の過失割合は、運転における「きまり」「義務」「常識」を破っていないかどうかでお互いの「過失」の大きさが判断されるのです。
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双方動いているときの事故は、必ず両者に過失が出るといわれましたが、どのようなケースでどのような割合なのでしょう。 |
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過失割合の認定基準表というものが発行されており、それに詳説されています。
現在の過失割合の判断実務においては、「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」が広く用いられているようです。多くの保険会社の実務もこちらに従っています。これは、様々な事故形態をパターン化し、それぞれのパターンに道路交通法の優先権や、運転慣行から基本的な過失割合の考え方を図示したものです。これは事故発生時の様々な状況・事情に対応し過失割合を修正できるよう、「修正要素」が設定されています。また、東京三弁護士会交通事故処理委員会・(財)日弁連交通事故相談センター東京支部・共編の、「損害賠償額算定基準」や、(財)日弁連交通事故相談センターが発行する、「交通事故損害額算定基準」等の中にも過失割合を類型化した資料が掲載されています。
それらによれば、車同士の事故の場合は、一般的には双方に同程度の注意義務が課せられていると考えられ、したがって、双方ともに動いているときに発生した事故では、双方に過失があるものと推測されます。
例外的に、信号機のある交差点で交差する車同士の事故で、一方が青信号に従っており、他方が赤信号無視で交差点に進入してきた場合には、信号遵守車には基本的には過失はないと考えられています。
同じく、対向車との衝突事故で、加害車両がセンターラインをオーバーしてきた場合にも、被害車両が回避行動を取っていれば、基本的に被害車両には過失はないと考えてもよいでしょう。
ただ、いずれの場合にも、被害者側においてわずかな注意を払っていれば交通事故の発生を回避できたと認められるときは、被害車両にも過失があったという判断がされます。
これらの参考資料は、実務上有力な資料として使用されてはいますが、事故形態は千差万別であり、場合によっては個別の事情によって割合が変わることが往々にしてありますので、あくまでも一つの目安として考えてください。
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友人と酒を飲み車で送ってもらっている時に友人の車が単独事故を起こしてしまい被害に遭いました。私にも「過失」はあるのでしょうか。 |
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最近の判例では、原則的にはあなたの「過失」(好意同乗減額)を問わない傾向にありますが、ご質問の場合には問題があります。
これは好意同乗(無償同乗)の減額と呼ばれるものです。無償で乗せてもらった被害者が、乗せてくれた加害者に対して損害賠償を請求する場合に損害額が減額されるか否かという問題です。過失割合の考え方に類似してはいますが、事故発生車両の同乗者であることから、過失割合とは別に考えられています。
かつては、その自動車の運行の経緯、同乗の経緯、事故発生時の態様などから、ある一定の割合で損害額から減額がされていましたが、最近の裁判例では原則的には減額はされない傾向にあるようです。
しかし、同乗した被害者にも事故発生につき責任があると認められる場合には、やはり減額されます(この点裁判例はおおむね減額しない傾向によっているとは考えられますが、裁判によって判断はそれぞれです)。では、どういう場合に被害者にも責任があると認められるのでしょうか。たとえば、無謀運転を制止できるのにしなかった場合や運転者が飲酒していることを知っていながら同乗した場合、もしくはスピード違反をあえて指示したような場合などがそれにあたるでしょう。
質問のケースは、あなたは運転者が飲酒していることを知っていながら同乗したわけですから、あなたにも責任があったと思われますので、損害額は減額されると考えたほうが無難でしょう。
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3歳の子どもが道路に飛び出し事故に遭いました。過失相殺は適用されるのでしょうか。 |
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子どもの親に対して過失を認め、過失相殺されます。
そもそも、事故の発生を避けるのに必要な注意力、いい換えれば安全に道路を通行できるような判断力がない人は、過失相殺の対象とはなりません。そして、ご質問の3歳の子どもには一般的にそのような能力はいまだ備わっていないと考えられます。つまり、3歳の子どもは、過失相殺の対象にはならないのです。
しかし、そうはいっても交通量の多い幹線道路を青信号で進行してきていた自動車が、赤信号で飛び出した歩行者(3歳児)を轢いた事故で、被害者が3歳であるという理由で過失相殺を適用せずに、加害者にすべての責任を負わせるというのは、いかにも不公平です。
裁判実務においては、そのような場合、その子どもの親に、幼児を監督するにつき過失があったとして、結果的に過失相殺をおこなっています。また、裁判例によっては、公平の原則を持ち出し、幼児の事故についても正面から過失相殺の適用を認めたものもあります。
いずれにせよ、被害者が3歳の子どもであっても、過失相殺はおこなわれます。
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違法駐車の自動車に衝突して死亡しました。その駐車車両に責任は問えるのでしょうか。 |
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責任を問える可能性も十分ありますが、一般的には衝突した側に全面的な責任があります。
自賠法上の「運行」に関する考え方では、定められた格納場所から出発して定められた格納場所へ戻るまでの間は、特段の事情のない限り、自動車の運行にあたると一般に理解されています。この考え方からすれば、夜間、街灯などの灯りのあまりない場所の違法駐車車両となれば、運行中であるという理解になりやすいでしょう。
事故の発生した時間帯における交通状況、被害者の走行速度や違反の有無、道路形態(カーブか直線かなど)その他さまざまな要素を複合的に考え合わせていかなければわかりませんが、違法駐車の車両であり、また明らかに危険な状態で駐車されているのであればその責任を免れることは難しいものと思われます。よって違法駐車の車両の所有者に自賠法上の責任を追及することは十分に可能かと考えられます。
しかし、その損害賠償額の算定においては、公平の原則の見地から、過失相殺の考え方の適用が問題とされるでしょう。相手方の責任の所在と、損害の算定における過失相殺の考え方は矛盾しませんので、この場合にはかなりの確率で大きく過失相殺されることになるとは思われます。
交通事故に遭ってしまったら、何をすればいい?(心構え)
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交通事故の被害に遭いました、今この現場で何をしたらよいのでしょうか。 |
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1に人命救助 2に道路交通の確保 3に事故現場の保存です。
交通事故が起きたとき、まず何よりも優先して行うことは人命救助です。あなた自身を含めて、まずけが人がいないかどうか確認します。けが人がいれば、まずその救護に努め、迅速に救急車の手配をします。それが済んだら次にやるべき事が、現場の道路交通の確保です。事故の相手方と連携しながらこの道路交通の確保を行い、必ず警察に事故の連絡をしましょう。
くれぐれも、「急いでいるから」とか「相手方が全部支払ってくれるといったから」などの理由で警察への事故届を省略しないでください。後日、トラブルの元にもなりますし、自動車保険などを利用する際に、保険金が支払われないなどのトラブルになることもあるのです。また交通事故発生の際の警察への届出は、加害者だけでなく当事者である被害者の義務でもあることをお忘れなく(道路交通法第72条)。
今後の連絡のために、相手方の氏名、住所、電話番号、車両の登録番号、それから日中の連絡先として勤務先電話番号や携帯電話の電話番号も控えておいてください。また交渉相手が保険会社になる場合もあるので、必ず相手方の任意保険の保険証を確認して、その連絡先も控えておく必要があるでしょう。
コンビニなどで簡易カメラを購入できるなら写真を撮ることも有効な証拠になります。
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事故で家族が入院しましたが、相手方はお見舞いにも来ません。見舞いに来るように催促をしても構わないのでしょうか。 |
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お見舞いの強制はできませんが、催促は構わないでしょう。
交通事故に限らず、他人にけがをさせてしまったら、その相手方に謝罪なりお見舞なりに行くのが一般的です。これは普通、道義的責任などと呼ぶこともありますが、文字通り、この責任は法律などで規定されたものではなく、あくまでも社会生活を営んでゆくうえでの「常識」の範疇にあるものです。つまり個人個人の価値観の違い、道徳観念の違いでその対応には大きな差が出てしまうのも現実です。
極端な話としては、「死亡事故を引き起こしたのに葬儀はおろか線香の1本もあげにこなかった」などという信じがたいことが現実に起きています。法的責任ではない以上、お見舞いや謝罪などを相手方に強制をすることはできません。しかし、相手方の態度があまりに不誠実な場合、病状報告の連絡として被害者の方から連絡を入れ、それとなく道義的責任を尽くしてほしい旨を伝えることは、むしろ自然なことだと思われます。
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加害者がお見舞いに来ました、どんな話をしたらよいのでしょうか。 |
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今後の交渉のことを考えて、平静を努め、無用に争わないことが大事です。
加害者は被害者であるあなたの体の具合を心配し、謝罪の気持ちを持って訪問してきたはずです。ですから、まずは率直に今の病状を伝え、その場で無用な争いになるような発言は差し控えた方がよいでしょう。
具体的な賠償金の問題、事故の過失(責任)割合など、疑問に思っている点があればその場で聞いても差し支えはないですが、くれぐれも詰問口調、脅迫口調にはならないように注意しましょう。特に相手方の交渉窓口が保険会社になっているようであれば、悔しい気持ちを押さえて、努めて平静に接することも必要になります。
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加害者の方がお見舞金を持ってきましたが受け取っても良いものでしょうか。 |
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常識的な金額であれば受け取っても構わないでしょう。
加害者がお見舞い金を持ってきたような場合、純粋に謝罪の意味の「お見舞金」であり、常識的な金額の範囲内であれば受け取ってもよいでしょう。同時に、それは賠償金の一部などではないということをきちんと確認をしてもよいでしょう。
「お見舞」という行為は、こちらでもふれたように道義的責任の問題であり、個人個人の価値観の中で判断していくことです。ですから、お見舞金というのも、持ってくるように強制するような性質のものではありませんし、逆に、常識的に見て多すぎるような金額の場合は、受け取らないほうがいいかもしれません。
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葬儀に加害者が列席を希望してきました。来てほしくないのですがどうしたものでしょうか。 |
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加害者の謝罪の念を受け入れることも大切です。
思いもしなかった交通事故。突然の家族の死。葬儀の場面では、まだまだ家族や親族は感情的になりやすく、列席した加害者に対して、冷静に対応できないだけでなく、ときとして感情が乱れて、葬儀自体に混乱をきたすようなことがあります。そうであれば、その旨を率直に相手方に伝えて葬儀への列席をお断りしてもよいでしょう。もちろん、加害者も反省、後悔をしていて、その葬儀への列席の希望が真に悔悟の念から出たものであれば、先々においてその謝罪の念を受け入れることも大切です。しかし、葬儀の席で顔を合わせた加害者に強い憎しみを抱き、それが先々の交渉事に悪影響を及ぼすことの可能性を考えれば、率直にお断りしても、加害者も理解してくれるはずです。
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事故後、加害者から何の連絡もありません。どうしたらよいでしょうか。 |
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被害者側からどんどん連絡をしてかまいません。
お見舞いに来ない、謝罪に来ないというのは、やはり道義的な問題です。その場合、そのことに関して法的な責任追及をおこなうということはやはりできません。しかし、交通事故の解決へ向けての話し合いをおこなうのであれば、加害者からの電話を待つ必要はありません。連絡や要望など、被害者の側からどんどん連絡をして構わないでしょう。
問題なのは、加害者の交渉窓口が保険会社になっている場合です。この場合には、直接の加害者と交渉の窓口とが別になってしまっていますので、どのように連絡を取るかというところで少し考えてしまいます。このような場合には、保険会社の窓口に、加害者が謝罪にも見舞いにもまったく来ない、ということを伝えると良いでしょう。保険会社としても、交渉がスムーズに進むためには加害者の道義的責任が必要であるという認識はもっているでしょうから、確実にその意思は伝わると思います。ただし、お見舞いの連絡をしてくるかどうかは、あくまでも加害者本人の人間性次第です。






